Ball Chair / ボールチェア [1963]
Designer:Eero Aarnio /エーロ・アールニオ
[フィンランド/1932-]
近未来を創り出したフィンランドの偉大なるデザイナー。想像力溢れる斬新なデザインで人々を魅了している。MoMA(ニューヨーク近代美術館)やポンピドゥー・センターなど、世界中の美術館に永久コレクションとして彼の作品が展示されている。
【代表作】
「パスティルチェア」「バブルチェア」「トリオリ」など。
Story & Features
1966年、ケルン国際家具見本市。1脚の椅子が衝撃のデビューを飾る。「ボールチェア」という作品名と共に、そのデザイナーである「エーロ・アールニオ」の名前も世界を駆け巡った。驚くべきことに、この作品は彼が独立後に初めて手掛けた作品でもあり、フィンランドの大統領をはじめ、モナコのグレース王妃やファッションデザイナーのイヴ・サンローラン、ジャズシンガーのフランク・シナトラなど、世界各国の著名人やセレブリティにも愛用されたチェアでもある。
この椅子は名前のまんま。最もシンプルな形の一つ、球体。その美しいフォルムは見た人の視線を釘付けにする。主材にはFRP(強化プラスチック)が用いられ、製品化には数年を要している。球体に座る、その発想が家具の歴史に新たな一ページを刻み、名作を生み出したのだ。見事なまでに完成されたデザインは他の追随を許さない。これからもその美しさが色褪せることはないだろう。
デザインもさることながら、そこには機能美も共存している。球体の一部を切り取ってできたスペースはなんと、周りの音をおよそ70%も遮断してくれる。体を優しく包み込むその構造は「自分だけの安らげる空間」を私たちに与えてくれるのだ。自分の時間をより一層感じたい人におすすめの一作。
Other
正規品はADELTA(アデルタ社)。1989年にエリエール・サーリネン(エーロ・サーリネンの父親)の作品を復刻するために設立される。本当に良いものは博物館や地下室などで眠らせておくのではなく、できるだけ多くの人の手に入るように。熟練した技術が生み出す職人技でオリジナルを忠実に再現し、製造・販売をしている。今なお、限られたデザイナーの作品だけを復刻している。
【机野椅子次郎のココが星5つ】
溢れだした想像力:★★★★★