Wiggle Side Chair / ウィグルサイドチェア [1972]

Designer:Frank Owen Gehry / フランク・O・ゲーリー

[カナダ/1929-]
 建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞をはじめ、世界各国で様々な賞を受賞している。独特の感性で世界を魅了し続ける建築家。
【代表作】
「ダンシング・ハウス」「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」「フィッシュダンス」「イージー・エッジ」「クロス・チェック」など。

Story & Features

 見た目と素材。この作品の魅力はその2つに尽きる。くねくねとした個性的なフォルム。一度目にしたらしばらく頭から離れそうもない印象的なデザイン。そしてなんと、素材はダンボール。これが本当に衝撃。あのダンボールがこれほどまでに完成された椅子になるのかと思うと驚きを隠せない。今見ても大きなインパクトを与えてくれる革新的な一作。
 ダンボールを使用する上で、強度的な問題が一番の壁であった。その壁を乗り越えるために、多くの時間が費やされたのである。曲げ木技術や成型合板で用いられる技術を応用し、また、見えない部分にスチールロッド(棒状の鋼鉄)や木材を使用することで見事に十分な強度を確保。見た目だけでなく、この構造も作品の持つ魅力の一つだろう。
 こうして出来上がった画期的な椅子は、その完成度の高さで世界からも注目され、多くの称賛を浴びることになる。しかし、ゲーリーが最初に思い描いた「誰の財布でも手の届く家具」とは遠くかけ離れてしまい、販売をやめてしまう。現在、販売されているものは、1986年にVITRAによって復刻されたものである。

Other

 正規品はVITRA(ヴィトラ社)。その歴史は1950年、スイスの地から始まる。元々は什器の製造販売メーカーだった。転機となったのは、一脚の椅子との出合い。創業者のヴィリー・フェルバウムがアメリカを訪れた際に目にしたチャールズ・イームズの美しい椅子。その出合いをきっかけに、彼は家具メーカーへの転身を決意。1957年、ついにイームズ夫妻からプライウッドチェアや家具のヨーロッパでの製造販売権を取得し、家具の生産が始まる。その後も数々の優れたデザイナーや建築家たちの家具を製品化、復刻化し、時代を超える名作をいくつも生み出している。

【机野椅子次郎のココが星5つ】

 ダンボールがもはや芸術の域★★★★★

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