arm chair (bent plywood chair) / アームチェア [1934]

出典:『世界の名作椅子100』,ワールドフォトプレス,2004,(ワールド・ムック―世界の傑作品 (481))(4846524817)

Designer:Gerald Summers / ジェラルド・サマーズ

[エジプト/1899-1967]
 工学の勉学を重ね、無線電信会社で働いていた彼は、1920年代後半から家具の設計を始め、自身の会社を設立。しかし、戦争の影響でわずか10年足らずで閉鎖。その後は別の道を歩み、家具製作の現場に戻ってくることはなかった。もっと、彼の生み出す作品を見たかった、と思うのは私だけだろうか。

Story

 1929年、彼は実用的な家具づくりのために成形合板家具を製造する会社をロンドンに立ち上げる。それが、メーカーズ・オブ・シンプル・ファニチュア社である。当時はまだ普及していなかった曲げ木という技術に触発され、金属ではなく、木材を使った家具製作に取りかかる。そうして生まれたのがこの椅子だ。1枚のプライウッドからつくられた作品が実は約80年前のものだというのだから、驚くしかない。

Features

 無駄のない造形美。本当にひとつながりなのか、と思ってしまうほどに美しいフォルム。まるで生き物のような曲線に生命の息吹さえ感じる。これ以上ないくらいのシンプルなデザインはものづくりの奥深さを教えてくれる。付け足すでもなく、削ぎ取るでもない。必要なものはすべてそこにある。そう物語る傑作。

Other

 オリジナルはメーカーズ・オブ・シンプル・ファニチュア社。しかし、戦争により工場閉鎖を余儀なくされ、120脚しか製造されなかった。その後、alivar(アリバ)社が復刻。しかし、日本で買えるサイトを見つけることができなかった(椅子次郎調べ)。東洋キッチンがalivar社を取り扱ってはいるが、この椅子の取り扱いはない。残念。。。ただし、海外のサイトであれば発見したので、こちらから。

【机野椅子次郎のココが星5つ】

 見事なまでに無駄のないデザイン★★★★★

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